昨年の冬、比較的年始である。実妹が亡くなった。

あまりに突然のことだったので、あの時期だけ異次元な体験すぎて今となってはうまく記憶が思い出せないというか、今と繋がらなすぎて断片的にしか思い出せないのだが、それまでたくさんしんどいことがあったはずなのに、それもう一回通しで体験してもいいんで引き換えに「妹を返して」って思った記憶。

でも、妹は返らない。

妹の動かなくなった身体の前に立った時、何も「振動していない」ということに気がついた。

この時「私は今まで”死”というものを何も理解していなかった」のだと悟った。

私にとって初めての二親等内の死。私は三人兄弟の一番上なのだが、よりにもよって一番下の妹が一番先に逝くとかなんなんだよ?と。

死とは、「完全なる停止」のことだ。眼の前の何かが、あからさまに動いていない。

妹は、大変才能のある子だった。享年30。あまりにも早すぎるだろう。

姉の私の影響で絵も合唱もやり、林檎ちゃん(椎名林檎)やBjorkのファンにもなった。妹には私と違って「深める」「同じことを執念深く(いい意味)繰り返す」という才能があった。蠍座不動宮の妹と、山羊座活動宮の姉の私。ここは完全に真逆というか、お互いに分かり合えない部分であったし、けれど密かに尊敬し合っていた部分でもある。

彼女は美大に進学し、アートやデザインを中心にあらゆる教養に精通していて、よく本を読んだ。世間知らずなところがあるのだが、たまに「何その知識!?笑」というのが出てきてものすごいブラックジョークがうまかった。

本当に才能があったのだ。美しかったし。何よりも、純粋で嘘がない子だったと思います。

神様、どうしてそんな妹を、30で天国生かせるような真似するんですか?とは思う。

「死は誰にでも平等。それが早いか遅いかだけ」

はい。そんなのは私だって知ってるんですよ。でもさ、やっぱり納得いきません。

運命とは不思議なもので、妹が亡くなった時期に私は新しいお仕事に着手していたのだが、妹が愛読していた雑誌さんGinaさんで連載が決まり、妹がよく愛用していたブランドAZUL BY MOUSSYの運営会社さんでの連載が決まっていた。

出棺のときにはまだ袖を通していなかったAZUL BY MOUSSYのコートを着せた。愛用の香水だったマルジェラのウィスパーインザライブラリー、私がふりかけてあげた。

数年前、妹が私と同じWELEDAのザクロのボディオイルを使っていたので「これ私も持ってるよ」というと妹は、私がまだ東京に住んでいた時…新宿区の家を尋ねてた時に姉である私が使っていたのだと。就寝前にこのボディオイル全身に塗りたくっていて、めちゃくちゃいい匂いをさせていたんだと。そんな姉を見て妹は「ほえええ、これが都会のイイ女!!!」と思ったらしい。

以来「イイ女になりたいんや」と思った妹が真似て使っていたらしい。

なんだよ、めちゃくちゃ可愛いじゃないか。

オシャレもボディケアも、生きているうちにしか全部できないじゃないか。

妹亡くなったあとに大量に彼女が使っていたスキンケア、ヘアケア、コスメを大量に私が引き取ったのだが、いちいち全部上等な品物で姉ちゃんびっくらこいちゃったよ…。少しずつ減っていく度に辛かったけど、良い思いさせていただきました!!!身体も髪も顔も綺麗になったしな!

「あなためっちゃ金星謳歌してたじゃない…」って思ったよ。地上の最強お姫様だね。

姉ちゃんもせっかく生きてるなら、生きてる限り、ギラギラの金星スパークさせて生きるしかないね。